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2010年10月21日

身体の40%はトウモロコシ

NHKハイビジョン『いのちドラマチック「シリーズ主食(1)トウモロコシ 驚異の繁栄」』がとてもおもしろく、これから後の他の「主食」についても期待できます。

以前、アメリカの青年二人が、ファストフードなどが好きな自分たちの身体はほとんどトウモロコシでできているのだということを知り、農場を借りて一年間トウモロコシを作ってみるというドキュメンタリーを見たことがあります。
種子は大手種苗会社が「開発」した遺伝子組み換え種子しか選択肢はなく、肥料、農機具も徹底的に管理下にあります。そして収穫したものはとても食べられたものではない「デントコーン」と呼ばれる飼料用です。それがめぐりめぐって自分たちの身体を成り立たせているという仕組みに気づいていく。

年間8億トン生産されるトウモロコシは単純にカロリーベースで計算すれば、55億の人(昨日の国連人口基金発表によれば2010年世界の人口は69億人・うち飢餓人口約10億人)を一年間養うことができるほどですが、大部分が家畜の飼料と加工材料等にまわされます。

その結果、私たちはトウモロコシを直接はたいして食べてはいないのに、ほとんどありとあらゆる食べものにトウモロコシ由来の成分が含まれることになっています。

アメリカ・バージニア大学環境科学の研究者が、髪の毛の炭素分析でトウモロコシ由来の炭素の割合を測定しています。
髪の毛は新陳代謝が早いので、1cmほどの髪の毛があれば過去2週間の摂取炭素(つまり炭水化物)を分析できます。
その結果はアメリカ人は平均で50〜60%、多い人は80%もがトウモロコシ由来。

日本人はそんなことはない?
ところが「アメリカ人はトウモロコシ人だね。ボクは米食べてるんだから70%くらいはコメなんじゃないの」と分析を依頼した「劇団ひとり(川島省吾)」の分析結果はアメリカ人より少しは低いとはいえ40%。

現代日本、トウモロコシ由来の成分は、私たちのふつうの食事のなかに例えば画面の図解のように含まれています。
肉類から乳製品、揚げ物、養殖の魚からワサビの香り付け、ビールから清涼飲料水、加工食品の甘味まで。
40%も当然です。


なぜ日本の食はこんなことになったのか?
戦後日本がアメリカの政治的経済的従属下にあるからとしかいいようがありません。

1950年代、戦争による荒廃を免れたアメリカは未曾有の繁栄を享受します。
かつて高価だった牛肉に対する需要は高まり、畜産業者は生後1年の仔牛をできるだけ早く出荷できるようにするため、トウモロコシを飼料にし始めます。
従来の牧草で育てた牛が出荷まで2年を要したのに比べ、半年で急激に成長させ出荷できるようにしました。

飼料用トウモロコシ栽培の上で、大規模収穫・効率一辺倒の「改良」、防虫や収穫しやすさなど考えうるあらゆる効果を求めた遺伝子組み換えが進められました。

一方、1959年のキューバ危機による砂糖輸入の途絶を契機に、トウモロコシからのコーンシロップ製造が加速します。砂糖の甘味の1.5倍、コストは2/3以下。
以降、コーラや各種清涼飲料水、加工食品の甘味にほぼ100%使われています。

これらをすべて日本は受容し輸入し自らも適用してきました。


解説役の福岡伸一先生は警告します。

生物は柔軟だから、インフルエンザウィルスの遺伝子を種子に打ち込まれたりしても、しばらくは持ちこたえるかもしれない。しかし、長い時間でみれば、必ずその生物自体からの揺り戻しや、こういう変異につけこもうとする想定外の昆虫やカビや細菌などが出てくる。
その時、こういう単一種は弱く、一気に全滅に向かう可能性がある。


ある日、一匹の変異種バッタが広大なアメリカの遺伝子組み換えトウモロコシ畑の一本のトウモロコシに卵を産み付け、その破壊的な結果がなすすべもなく拡がることをイマジンしよう。  

アメリカのトウモロコシが崩壊すれば、アメリカはもちろん日本の現在の食も崩壊するのです。
  

10 21, 2010 15.社会・政治・思想・歴史そして世界へ, 19.食と農、健康と病 |

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