「砂に書いたラヴレター」
週刊文春8月28日号の愛読連載、小林信彦「本音を申せば」に、夏の終わりで思い出す歌のことがいろいろ書かれてある。
シナトラやサラ・ヴォーンが歌った「ニューヨークの秋」(ヴァーノン・デューク作詞作曲)。
ペギー・リーやパティ・ペイジが印象的なヴィットリオ・デ・シーカの名作『終着駅』(1953)のテーマ曲「ローマの秋」…等々。
そして日本では「砂に書いたラヴレター」として知られている歌。
もともとは1931年に作られたバラードだが、映画『バーナディーン』(1957)でパット・ブーンが歌いミリオンセラーになった。
パット・ブーンは、当時人気を二分したエルビス・プレスリーの、親たちが眉をひそめる「良くない音楽」とは対照的に、いかにもその頃のアメリカのTVホームドラマに出てくる行儀正しい中産階級好青年のようで、甘い歌声が魅力的だった。
で、「砂に書いたラヴレター」だが、原題は「Love Letters In The Sand」
訳詞も自分でやっていたディック・ミネ(1908~1991)は、戦前「恋の砂文字」として歌った。
戦後日本での邦題は「砂に書いたラヴレター」であり、最初のフレーズは「今日のようなあの日、ぼくたちは砂にラヴレターを書いたね」となっている。
しかしこれは誤訳だろうという。
砂の上に何通もラヴレターを書いているわけではない。
正しく訳せば「砂の上のLoveという文字たち(Letters)」
砂浜に「Love」という文字を描き、波がそれを洗い流し、また描き、また消され…という Lost Love の情景と心象を歌ったものなのだ。
8 25, 2008 01.私の好きな鎌倉の風景, 08.ことばとコミュニケーション・文字・タイポグラフィ, 13.音楽の楽しみ | 固定リンク
トラックバック
この記事のトラックバックURL:
http://radical-imagination.net/mt/mt-tb.cgi/4119
この記事へのトラックバック一覧です 「砂に書いたラヴレター」:
コメント