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2008年05月24日

ブルックリン・ブリッジ125周年と『人類が消えた世界』(アラン・ワイズマン/早川書房)

マンハッタン南端とブルックリンを結ぶブルックリン橋(Brooklyn Bridge)は鋼鉄ワイヤーを使った世界初の吊り橋でとても美しい。
1883年に完成し、今日5月24日に開通した(125周年)ということで、NYでは3日間にわたってさまざまな記念行事をしているという。

が、TVのニュースでもちらとやっているとき私が読んでいたのは邦訳が刊行されたばかりの『人類が消えた世界』(アラン・ワイズマン/鬼澤忍訳/早川書房)であり、200〜300年後の無惨に崩壊していくブルックリン・ブリッジのイラストだった。

ブルックリン・ブリッジは風洞実験もコンピュータ構造計算もなかった時代、当時の基準の6倍もの強度で作られた。
設計当時(日本で言えば明治初期)、まだ馬車とガス灯の時代であり、その後一日数十万台もの自動車が通ることになろうなど誰も想像すらできない。

けれども、NYの橋の管理者は言う。
「この手の橋は必要以上に頑丈にできているので、行き来する車など象に乗った蟻のようなものです」
「私たちは先祖が残してくれた過剰設備で食いつないでいるのです」(同書より)。

しかし、チェック、管理、メンテナンスできる人間がもしいなくなったとしたら、NYの冬の寒暖による縮小時の目地へのゴミ、膨張時のきしみ、塗装はげとサビ、などによって、本来はあと1000年は保つだろうブルックリン・ブリッジも200〜300年先にはイーストリバーに飲み込まれるだろうという図なのだ。

『人類が消えた世界』は、危機をあおりたてるような類のものでも、あるいは時系列を追ったSF仕立てのものでもない。
学者はもちろん現場の技術者や管理者からアマゾンの農民、アフリカの狩猟民などへの国際的な取材、現代科学の最新の知見に基づいて書かれている。

ある日忽然と人類が姿を消したとしたら(ただし世界的な絶滅戦争や、他の生物を道連れにしてではなく、今あるものはそのまま残したままで)という仮定を立てることによって、人類が築いてきた文明とはいったい何なのか、これまでこの地球生態系のなかでどういう歴史的経路をたどってきて現在があるのか、そしてとりわけ現代が創り出してき残されるものはその後の地球環境にとってどういう意味と影響を与えるのか、ということを鮮やかに照射して実にスリリング。

5 24, 2008 14.読書三昧, 15.社会・政治・思想・歴史そして世界へ |

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