「手の遺跡」
パトリック・オドゥヴァールからもらった9cmほどのオブジェ。
リモージュの磁器であり、パトリックの特徴ある絵付けがなされているのは見て取れるのだが、何なのか説明されるまでわからなかった。
パトリックは18世紀から続く由緒ある工房でディレクターを務めていたのだが、この工房は2002年にひそやかに倒産した。
彼は倒産前の工房で、磁土材料をモールド(型)に流し込み型通り乾燥させるプロセスで職人たちが握りつぶし脇に捨て置いたいわゆる「オシャカ」の山の中から300点ほども集めて焼き、絵付けして「Le Silence(沈黙)」という展覧会を開いた。これはその時展示されたもののひとつ。
彼はこれらを「手の遺跡」だという。
ここで言う「手」は連綿と受け継がれてきた職人の技を生み出す「手」であり、それへのオマージュだ。
ぎゅっと握りつぶした職人の手の跡が、苦々しさと、より良いものへの希求を込めてそのまま残っている。

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