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2006年10月05日

『Maria Full of Grace』(『そして、ひと粒のひかり』)

南米コロンビア出身の友人エクトル・シエラによれば、コロンビアは自然に恵まれた美しい国で、資源も豊か、多様な生物にあふれ、人々は素朴であたたか、陽気で楽天的。

一方でコロンビアは第二次大戦後から長く「内戦状態」といっていい状況にあり、政府軍、地方有力者が囲う民兵、左翼ゲリラなどの抗争がずっと続いている。
人口1000万の首都ボゴダでは毎晩30名が殺され、数十人が暴徒に襲われ、約100人が強盗に遭う。年間の誘拐は2000件、テロ攻撃は850件。
コロンビア人は母国を皮肉って「ロコンビア」と呼ぶ。「Loco」はスペイン語で「クレイジー」の意。
この映画もコロンビアではほとんど撮れなかった。

そしてさらに「麻薬民主主義社会(Narcodemocracy)」と呼ばれるほど麻薬カルテルが強大な力を政界にまで及ぼしている。

『そして、ひと粒のひかり』(原題『Maria Full of Grace』)-米&コロンビア/監督-ジョシュア・マーストン/2004

コロンビアの地方の町で薔薇のトゲ取りで一家の生計をしょっていた17歳の娘が、尊厳も品位(Grace)もない扱いの仕事と自分に依存する家族にどうにも我慢ができなくなる。
特に愛してもいなかった男との子を宿しながら、首都ボゴダに行き、5000ドルという(コロンビアでは家も買えるだろう)報酬につられ(「つられ」というのは正確ではない、彼女は自覚的に選択している)、麻薬の運び屋を引き受け、ヘロインを詰めた親指大ほどのゴム袋を62個も飲み込んでニューヨークに飛びたつ。

揺れ動く手持ち撮影を徹底しドキュメンタリーフィルムの味わいを通した脚本・監督のジョシュア・マーストンと凛とした(Full of Grace)主演のカタリーナ・サンディノ・モレノ(米アカデミー賞主演女優賞ノミネート他受賞多数)が素晴らしい。

『Collins Cobuild English Dictionary』の「Grace」の項、1と2。
1. If someone moves with grace, they move in a smooth, controled, and attractive way.
2. If someone behaves with grace, they behave in a pleasant, polite, and dignified way, even when they upset or being treated unfairly.

10 5, 2006 12.写真・映像・映画・演劇, 15.社会・政治・思想・歴史そして世界へ |

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