『ビーチコーミング学』(池田等・東京書籍)-1
『ビーチコーミング学』(池田等著・東京書籍)が実に楽しくおもしろい。
ビーチコーミングは海岸に流れ着くさまざまなものを拾い集め観察し考え作り楽しむ、というもので愛好者が増えている。
「comb」は「櫛」「櫛でとかす」だが「隈無く探す・綿密にチェックする」という意味もある。ただ「beachcomber」となると「(売るために浜で難破船などからの)漂流物を拾う人」だとか「(特に南太平洋諸島の)浜で漂流物を拾って暮らすよそ者の浮浪者」(ランダムハウス英和大辞典)などとあって現代のビーチコーマーたちは苦笑するだろう。
著者の池田等さんは海洋生物学者で葉山しおさい博物館館長。湘南・三浦の海のビーチコーミング歴40年を越す。
楽しい写真とイラストは『湘南ちゃぶ台ライフ』の広田行正・広田千悦子さん。
浜辺には実にいろいろなものが打ち上げられる。
1898(明治31)年に柳田國男は伊良湖岬滞在中、浜辺に漂着した椰子の実を見つけて感動し、島崎藤村に話したところ、藤村は「君、その話を僕に呉れ給へよ、誰にも云はずに呉れ給へ」とネタを譲り受け、
名も知らぬ 遠き島より
流れ寄る 椰子の実一つ
故郷(ふるさと)の岸を 離れて
汝(なれ)はそも 波に幾月
と歌った。フィリピンから沖縄を経、太平洋側を北上し、房総沖で北からの親潮とぶつかって東へ蛇行していく黒潮の最後の支流が流れ込む相模湾(真鶴半島と三浦半島先端の城ヶ島を結ぶラインの陸側の海)にも椰子の実はたどり着く。
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