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2005年06月29日

朗読ライブ『山月記』(中島敦)at「鎌倉物語」

050629sangetsuki

カフェ「鎌倉物語」(鎌倉小町)で、松崎義男さんの朗読と松尾慧(けい)さんの横笛のライブ。

群ようこさんは高校の「国語」の教科書で中島敦『山月記』に出会ったときの印象を下記のように記している(『中島敦全集2』ちくま文庫・解説)

「私は冒頭の『隴西の李徴は博学才穎、天宝の末年、若くして名を虎榜に連ね、ついで江南尉に補せられたが、性、狷介、自ら恃むところすこぶる厚く、賤吏に甘んずるを潔しとしなかった』という文章をみ、頭がくらくらしてきた。…私たちの間では、中島敦という作家は『とっても難しい中国の話しを書いて、若くして亡くなった、眼鏡をかけた人』で終わってしまった」

私は中学のとき、そのころ刊行されていた筑摩書房の現代日本文学大系を読みふけっていて中島敦(1909-42)に出会い、連綿と続く陰気な日本私小説群とは隔絶し屹立している彼が描き出す古代中国やペルシャの世界と文章がとても好きになった。
中学で出会った「漢文」の授業がきっかけにもなった。孔孟の儒教的説教は大嫌いだったが、いろいろ声に出して読んだ中国歴史物や唐詩の数々の「漢文読み下し」の言葉とリズムと響きは私の身体のなかに入っている。

ついでだから中島敦の代表作の出だしをもうちょっと紹介する。
「くらくら」するか「わくわく」するか。

「趙の邯鄲の都に住む紀昌という男が、天下第一の弓の名人になろうと志を立てた」(『名人伝』)

「漢の武帝の天漢二年秋九月、騎都尉・李陵は歩卒五千を率い、辺塞遮虜鄣を発して北へ向かった」(『李陵』)

「魯の卞の游俠の徒、仲由、字は子路という者が、近頃賢者の噂も高い学匠・陬人孔丘を辱めて呉れようものと思い立った」(『弟子』)

松崎さんの『山月記』の朗読に接して、耳からことば、話しを聴くことの力を改めて思い知った。難しい漢語や名前は確かに混じる。しかし字面を追って読んでいくのに比べると、おそらく中学生でも理解できるだろう。

文庫本でわずか10ページ分だが、およそ20分にわたって朗読され、松尾さんの明澄で哀切な横笛が時に呼応して作り出される世界は味わい深い。

「虎は、既に白く光を失った月を仰いで、二声三声咆哮したかと思うと、又、元の叢に躍り入って、再び其の姿を見なかった」
という結尾を聴き終えて涙した。

6 29, 2005 12.写真・映像・映画・演劇 |

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» カフェ『鎌倉物語』 Hokutoのつぶやき
久しぶりの「イチオシ」更新です。 今回もお店です。 ここは、オムライスの店。 鎌倉駅から線路沿いに大船方面に少し行ったところです。 実際に行くには、小町通を少し歩いて、最初の角を左折、踏み切り手前を右折してすぐです。 電車からも見えるので、わかりやすいです。 鎌倉らしく小ぢんまりとした店内には、アップライトピアノも置いてあり、良い雰囲気です。 メニューは、オムライス・オムカレー・オムハヤシなど、両手で数える程度しかないけど、手作りなのがよく伝わってきて、とてもおいしいですよ.....

2005年08月09日 19:21

コメント

わーい、ついに「李陵」登場ですね!

中島敦さんの作品は、まず難解という先入観を与えられていたので、文庫本を買って読んだのは40代になってからでした。・・・で、思ったのは「オトナになってからだから感動できたのね!」というアホな感動でしたが・・・感動の根源はといえば、やはり、ご指摘のとおり「耳からことば、話しを聴くことの力」に10代から触れてきたことにありましょうね。

漢文や古文の意味は詳細に理解できなくても、人が発する音声の力になじむことが目的。
「素読」というカリキュラムは、そのへんをわかっていたんでしょうね。

なつかしい「ご詠歌」から謡曲へ、祭り囃子から世界の民族音楽へ・・・と直感的にワープできる力は、そんなところから育てられたような気がします。

『史記』の列伝を、いい役者さんが駅伝風に語ってくれないものでしょうか?
NHKの罪滅ぼしには好適では?
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ただし、感動した客が自己投影しちゃって、覇王・英雄・刺客・傾城の類が町中にあふれては困ることもありましょうな。

特に、トラはアブナイのでは?

タイガースファンが飛び込む道頓堀は大阪にしかないでしょうし。

私もアルコール星人なので、飲んだら現世の道は通らずに、モノノケ道(鎌倉にもたくさんあるようですが)を通るようにしまーす。

小笠原 | 2005年06月30日 03:52

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