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2004年12月31日

以ず美(鎌倉長谷)-1

041231izumi

長谷駅近くの「以ず美」は、店のたたずまいからして、寿司職人の凛とした求道感と気配り、そして清潔感に満ちている。
白木ではなくどっしりした欅を削り上げ漆で仕上げたカウンターと椅子。つけ場には指物職人の腕が光る見事な檜のネタ箱がいくつか重ねて並び、手間のかけられた鮨種が整然と納められている。

ご主人の神代三喜男さんは寿司職人歴30年を越える。目黒の「いずみ」で先代の故・佐藤勇さんを師として修行した。この店名はそれを受けている。
神代さんは私の好きな「職人の風貌」をしている。鮨にかける気迫、執念、あくなき努力といったものが面貌と立ち居振る舞い、素材と道具の扱いにひしひしと感じられるのだ。
けれどけっして偏屈などではないし、えらぶってもいない。むしろ気さくといっていいから緊張せず安心していい。

素材は築地で選ぶ。五島の鯖やアラ、大間の本マグロ、羽田沖の穴子、明石のタコ、青森のアンキモ、根室の白魚など季節に応じて徹底して吟味されている。

「仕事」ということばはプロ野球の選手が活躍したときに「いい仕事をしましたね」などと使われるようになったので、使い方が難しくなってしまったのだが、寿司職人の世界で「仕事」といえば、元の鮨種にさまざまな手を加えることを言う。
神代さんの「仕事」は、あくまで素材の良さを生かしながらも、独自の工夫をこらした一手間、二手間がかけられている。
ヅケ、5種もの酢を使い分けた酢締め、昆布締め、煮詰め、煮切り、湯切り等々。

さらに、たとえば白イカに少しのスダチと上質な岩塩を付けて旨味を引き立てたり、トコブシに刻み山葵を合わせたり、と感嘆はつきない。
ひとつずつ出される姿形は実に美しい。鮨は目でも楽しむものだ。

歩いてすぐの町内にこれほどの江戸前鮨の名店があることはとても幸せだ。

12 31, 2004 02.私の好きな鎌倉の店・和食 & 居酒屋 |

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