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2004年11月20日

無力感を超えてー『デモクラシーの冒険』(姜尚中、テッサ・モーリス-スズキ)

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デモクラシーの「空洞化」はあまりに眼を覆うばかりの惨状なので、ブッシュの「中東にデモクラシーをもたらす」とかコイズミの口の端にのぼる「民主主義」を見聞きすると、もうこの言葉はお前たちが好きなように使え、私たちは新しいことばと概念を作り出す、とでも言いたくなるが、姜尚中とテッサ・モーリス-スズキの対談をまとめた『デモクラシーの冒険』(集英社新書)は、なんとか踏みとどまってこの内実を奪い返し発展させるほかない、という勇気を与えてくれる。

テッサ・モーリス-スズキはオーストラリア国立大学で教えているが、若い世代の政治的無力感をひしひしと感じている。アメリカのイラク侵略の後、彼らのなかでは「自分たちが暮らしているこの世界をより良い方向に変えていくことは、もはやできないのではなかろうか」というニヒリズムが支配している。
しかし問題を立て直してみよう、と彼女は言う。「あなたは、自分たちが暮らしているこの世界をより良い方向に変えていくことが可能だとしたら、そうすることを選びますか」

姜氏との対話は、この問いを出発点に、冷戦構造崩壊後、自由が勝利したと言われるのに逆に自由な選択肢がなくなってきた状況、グローバル権力の生成から今日まで、デモクラシーのブラックボックスとしての「政党」の問題、世論と台頭するポピュリズム、直接民主主義と間接民主主義、デモクラシーの試金石としての「外国人」、等デモクラシーを歴史的、世界的、多角的に捉え返し、今「暮らし」のなかで私たちが何ができるのか、を示唆している。

「想像力を奪うものへの抵抗」「グローバル権力と内なる無力感への抵抗」への二人のさしあたっての提言が上にあげた「みんなでつくるデモクラシー・マニフェスト」。
6〜9が空白なのは読者に自由に埋めてほしいため。
そしてこの10項目にとどまらず100項目にも200項目にもなってくれることを願っている。

私も考えたい。皆さんも考えませんか?

11 20, 2004 15.社会・政治・思想・歴史そして世界へ |

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『デモクラシーの冒険』姜尚中、テッサ・モーリス-スズキ、集英社新書(2004)。 姜尚中(カン サンジュン、東京大学教授)さんとテッサ・モーリス-スズキ(オース...

2004年12月15日 21:14

コメント

すでに読んでいたので、ご紹介記事に賛同する形で私的な感想を書かせていただきます。

福祉国家の崩壊と民営化の問題。
さらに国家と企業の混合体の蔓延。
我々が抱く無力感と嫉妬や暴力の連鎖の構造が、私の中でだいぶクリアになったような気がします。
また、いまや政治が国家のレベルを超えてしまっているという指摘も重要です。
国民国家も歴史上の存在にすぎないことを改めて認識しなければならないのかもしれません。
では、いま我々に何ができるのか、いや何をすべきなのか。
私はこの記事にも紹介されている「想像力を奪うものへの抵抗」「グローバル権力と内なる無力感への抵抗」のくだりに刺激を受け、先日駅前でパフォーマンス・アートの作品を展開しました。
どれだけ伝わったかはわかりませんけど。

丸山真 | 2005年01月04日 08:59

ご紹介ありがとうございます。
さっそく購入して読んでみたいと思います。

n_ayada | 2004年11月21日 00:28

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