
※ファルージャ西部の俯瞰写真の一部(下記記事中にリンク・ダウンロード先があります)。左上の建物群が米軍がまず「制圧」した病院。ユーフラテス川にかかる2つの橋。右上が「武装勢力の拠点」とされるジョラン地区。クリックすると拡大表示
ファルージャ。
バグダードの西約60Km。ティグリス川とともに古代メソポタミア文明を育んだユーフラテス川の東に位置し、バグダードとヨルダンを結ぶ要路にあり、はるか古くから人が住んだ。乾燥地帯にあって潅漑設備を発達させた農業が中心の町だ。
人口は25万〜35万といわれる。
イメージするために同じ程度の人口の日本の町をあげる(以下35万から25万まで人口順)と、吹田・岡崎・郡山・高松・川越・高知・所沢・柏・富山・秋田・越谷・宮崎・那覇・青森・明石・福島・四日市・盛岡・大津・函館・春日井・前橋・市原・八尾・一宮・徳島・加古川・茨木・山形・平塚・下関・福井・寝屋川といったところ、東京でいえば、品川区・北区・中野区・新宿区・目黒区・豊島区あたりとだいたい同じくらいの規模だ。
これらの市や区の住民の女性・老人・こどもが短期間ですべて避難できるかどうか想像しよう。
いわゆる「スンニ・トライアングル」と呼ばれ、フセイン支配下では経済的に比較的優遇されてはいたらしいが、国際的な人権NGO「ヒューマン・ライツ・ウォッチ」によると、フセイン政権崩壊の際にもフセインへの強い同情は見られず、インタビューに応じた住民の多くは自分たちが弾圧の犠牲者だったと感じており、アメリカのメディアが決めつけ日本のメディアが追従して報じるような「フセイン派の拠点」ではもともとない(『ファルージャ 2004年4月』/現代企画室刊)。
「イスラム過激派の拠点と化し」(読売新聞社説)たり、「悪の巣窟」(フジテレビ・木村太郎)となっている、というのは、もしもそれが事実だと仮定したとしてもアメリカの侵略と占領が自ずから引き起こした結果だ。
1991年の「第一次湾岸戦争」のときには、英軍のミサイルが人々で賑わう市場を直撃し200人が殺された。2003年4月には小学校を占拠した米軍への非武装の市民デモに発砲し15名を殺害。そして2004年4月の大虐殺(これらは抜粋しただけ)。
平和的で親切な市民が「レジスタンス」になるには不十分か?
Raed in the Japanese Languageの9日にアップされた記事にある地図のDIGITALGLOBE社のサイトの左下「Media Gallery-Iraq」の中で「Al Fallujah(ファルージャ)」の俯瞰写真3枚をダウンロードすることができる。
Overviewを見ると、周りの町村を合併した日本の市とは違って、周囲の潅漑農地の中の密集住宅地であることがわかる。
Detail(2004年5月)は72dpiでドキュメントサイズ・127x105cmの大きなもので建物のひとつずつも判別できる。
米軍がまず「制圧」した病院がユーフラテス川西岸に見える。市内に通じる2つの橋。「武装勢力」の拠点とされる市北西部・Joran(ジョラン)地区。むろん4月の時と同じく発電所は真っ先に破壊されていて電気も水道もとまっている。市の北側に鉄道駅が見える。中心を東西に貫く幹線路。右下はこれから米軍が「制圧」をめざす公共施設地域だろう。
池澤夏樹さんは2002年秋「もしも戦争になった時、どういう人々の上に爆弾が降るのか、そこが知りたかった」とイラクを訪れさまざまな人々とふれあい暮らしを見る。「実に明るい人たちだ。しかもおそろしく親切」。
そして「小さな橋を渡った時、戦争というものの具体的なイメージがいきなり迫ってきた…近隣国にあるアメリカ軍基地の倉庫の中か洋上の空母の上に、この小さな橋の座標を記憶した巡航ミサイルが待機している。遠くない将来にそれが飛来して、青い空から一直線に落下し、爆発し、この橋を壊す。そういう情景がくっきりと浮かんだ。ぼくの目の前で橋は炎と砂塵と共に消滅してゆく」
「アメリカ側からこの戦争を見れば、ミサイルがヒットするのは建造物3347HGとか、橋梁4490BBとか、その種の抽象的な記号であって、ミリアムという名の母親ではない。だが、死ぬのは彼女なのだ。ミリアムとその三人の子供たちであり、彼女の従弟である若い兵士ユーセフであり、その父である農夫アブドゥルなのだ」『イラクの小さな橋を渡って』(池澤夏樹・文/本橋成一・写真ー光文社)
ファルージャに知人はいない。
しかし、この俯瞰写真図(ぜひダウンロードして見てください)を熟視し、この一軒一軒に暮らす人々のこと、この人たちが今受けている砲弾や銃撃やその後の「しらみつぶしの捜索」や「人が住めるところではなくなった」(今朝6時のNHKニュースのなかのファルージャの住民の声)様を少しは想像することはできる。
ブッシュやラムズフェルドやアラウィや、「成功させなきゃいけない」(「have to be successful」「strong support」として英語圏に打電された・むろんイラクの人々にも伝わるだろう)小泉の言辞とそれを垂れ流すマスメディアにではなく、私はこの想像力に立脚するしかない。