PaPa Noel (鎌倉由比ガ浜)-1
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鎌倉には「隠れた名店」が多いなどと言われる。
本当にそうか。
たとえあったとしても、この情報化の時代に「隠れた名店」であるのはほんの初期だけのことだろう。
そもそも「名店」とは顧客との広い関係を前提にした概念だから「隠れた名店」ということばは矛盾した表現ではないか。
観光客があまり行き来しないようなところにあり、始めは地元民しか行かなくても、本当に良い店だったら、口伝えや電話やメールで伝わり、実際に訪れた人がネットその他でさらに情報を広め、情報誌やガイドブックがそれを嗅ぎつけて取り上げ、使い回して増幅し、あっというまに「隠れた」存在ではなくなる。
要するに「現時点で」「隠れた名店を知っている」(知る人ぞ知る)というスノビズムを満足させるためだけの言葉ではないのか。
私の好きな鎌倉の店のひとつ「PaPa Noel (パパ ノエル)」は2年前にオープンしたのだが、「情報的」にはその典型だ。
「ナディア」というイタリアンレストランの店(ハーブの使い方が絶妙だった)がやっていた場所を引き継いだことも大きい。 私もナディアの後はどうなるのだろう、とときどき見ていたので行くようになった。
(ナディアは今は長谷の裏道に民家を改造してリオープンし、普通の観光客には無縁だが、「情報的」には成功してとても繁盛している。つまり「知る人ぞ知る」存在になっている)
PaPa Noel (パパ ノエル)も、「湘南スタイル・レストラン100」にも取り上げられるようになった。
私はこうしたマーケティング的な観点のことに(考えはするが)あまり興味はない。
人間的に共感できる人たちが、新鮮な素材で工夫を重ねた味の料理をリーズナブルな価格でサーブし、気持ちよい空間と時間を提供しているかどうか、が基本だと思っている(もうひとつ重要な要素として「客」「客筋」「客層」のことがあるがこれはこれで難しい問題)
「PaPa Noel (パパ ノエル)」は私の大好きなビストロだ。
フレンチに少しイタリアンぽい感じを加えたような料理。
14名でいっぱいになる小さな店を、しゃきしゃきとした奥さんと、厨房を預かるちょっと恥ずかしがり屋の旦那さんが切り盛りしている。奥さんはフランスで菓子作りの修行をした経験もあり(ケーキ教室もやっている)、彼女が作るデザートの盛り合わせは評判だ(私はケーキ類をいっさい食べないが、前のカミサンや息子や老母は絶賛している)。
きょうは身体の調子がけっこう良さそうだったので、Papa Noel(フランスでサンタクロースを指す子ども言葉)に行ってランチを食べた。
焼きホタテ入りとうもろこしの冷たいスープ、イサキのソテー(ベルモット風味ソース温野菜入り)、パン、コーヒー。
小坪漁港であがったばかりの魚と、取れたて野菜の新鮮さがめいっぱい引き出されている。
本日のおすすめワインも銘柄は忘れたが、素直に濃厚で旨かった。
私と前のカミサン(現高校3年の私との間の息子と同居)と私の老母は、同じ鎌倉市内で別々に住んでおり、けれど月に1回は、あちこちで一緒に食事してきた。この2年間もずいぶん Papa Noel で楽しいひとときを過ごした。
帰り際に母の入院の事情を伝えると、奥さんは手作りケーキを即座に梱包して、持っていってください、と言う。
病院に持っていく前に、ちょっと開けてみて写真を撮った(右側の白いものは氷を詰めた袋)。
ケーキそのものを撮りたかったわけではない。人の気持ちを撮っておきたかった。
6 22, 2004 05.私の好きな鎌倉の店・洋食 | 固定リンク
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