シシトウ炒め
8 28, 2008 18.花・木・野菜・生きものたち, 19.食と農、健康と病 | 固定リンク | コメント(0) | トラックバック(0)
1990年頃、鎌倉・佐助の谷戸奥の古い貸家に住み、その上のもう人家もない尾根下に思いがけず広がっていた荒れ放題の空き地を見つけて、まあ勝手に「開墾」し、野菜とハーブを少しずつ試していたとき以来の最良の指南書が、この『新版 農薬を使わない野菜づくり』(徳野雅仁/宝島社)。
それ以来、無くしたり買い直したりで、もう何冊か目になる。
(他にも同著者で『自然流家庭菜園のつくり方』/宝島社・『無農薬自然流野菜づくり』/ひかりのくに)等。
著者はもともとイラストレーターなので、発芽から成長、収穫までを実際のサイズでリアルに描いていて楽しい。
無肥料、無農薬、無耕転、そして「雑草」と共生させること、組み合わせた混作や輪作により、土壌は年々豊かになり、虫が多くいてもそれらを捕食する虫も多いので「虫害」は発生しない。
実際「開墾」をこの方法で始めて2年ほどで土はフカフカになり、長い棒を突きさすと、抵抗なく1m50cmほどは沈んだ。
植物の根やミミズや膨大な微生物たちが、自然に土を豊かなものに変えてくれているのだ。
こうした土の地下10cmほどのところには、ほんのスプーン小さじ1杯ほどの土に数億の微生物が含まれており、すべて他の世界と連関し、循環しあっている。
農薬、化学肥料、遺伝子操作等人間が創り出したものはこうした連関と循環を断ち切り、自然世界の一環でありながら目先の経済効率のためにそれらに頼っている人間たちのあさましく未来がない姿を浮き彫りにしている。
たとえほんの畳一畳ほどの土でも、ベランダのプランターでも、キッチンの窓辺でも、一日3時間ほどの日照でもいい。
これらの不断な自然の日々の営みを観察し、実感し、驚き、楽しみ、収穫し、味わい、感動し、学ぶことは必ずできるしやってみてほしい。
あなたの人生の転機になりうる。
8 1, 2008 14.読書三昧, 18.花・木・野菜・生きものたち, 19.食と農、健康と病 | 固定リンク | コメント(0) | トラックバック(0)
私の教えているところ(多摩美術大学造形表現学部デザイン学科)の3年生の4名が、「日本の食」の問題に取り組み、さまざまなイベント、ワークショップ、発表を行う。
「農」を軽んじ「工」を優先させた結果、「先進国」中、類をみない食糧自給率の低さにおちいっている日本で、必要カロリーの国内自給率分=996キロカロリーで過ごしてみる生活体験の記録映像とブログ、「見て驚く! 面白い!! 畑からやってきた野菜の展示!」「新鮮な産直野菜の試食」(協力:パルシステム)
「紙芝居で分かりやすい世界からみた日本の食料事情」
「アニメーション、アリとキリギリスから考えよう」
など盛りだくさん。
ぜひ行ってみてください。
イベント展示会
「わたしたちの食自由研究ーそれでEAT思うかい?日本の食」
●7/23(水)-24(木)
12-19時(入場18時半まで)入場無料
●会場
SPACE/ANNEX
東京メトロ人形町駅A5出口より徒歩1分
7 20, 2008 19.食と農、健康と病, 31. 「不都合な真実」をデザインする | 固定リンク | コメント(0) | トラックバック(0)
「週刊文春」に先月から連載されている「福岡ハカセのパラレルターン パラドクス」がとても面白い。
『生物と無生物の間』『もう牛を食べても安全か』などで有名な分子生物学者、福岡伸一先生だ。
今週(6月26日号)は「なぜ私たちは太るのか」
青山学院大学での「毒と薬」という講義の一端。
あなたがイチゴのショートケーキを食べるとする。
一個約200g。
このうち水分は50%の100g。
水分は身体の中でバランスが取られるので、余分な水分は尿、汗、呼気として排出され、身にはつかない。
残りの100gの内訳。
小麦粉、クリームなどの炭水化物が60g、タンパク質20g、脂肪20g。
栄養素をカロリー計算する簡単な式
炭水化物 1g=4kcal
タンパク質 1g=4kcal
脂肪 1g=9kcal
そうするとこのケーキは
炭水化物 4×60=240kcal
タンパク質 4×20= 80kcal
脂肪 9×20=180kcal
計500kcalにもなる。
たとえあなたが一日部屋にひきこもり状態だったとしても、心臓と肺を動かし、体温を維持し、細胞を活動させるのに必要なエネルギー量は約2000kcal(もちろんこれは個人差や活動量にもよるので、あくまで平均)。
他に何も食べなかったなら、この500kcalはすべて基礎代謝に必要なエネルギーとして燃やされ、燃えかすは水と二酸化炭素となって排出される。
しかし、食事ですでに2000kcalを摂取していたとしたら、このケーキの500kcal分は、余剰となり、あなたの体重は増加する。
ここまでは小学生でも習うだろうし実感としてわかる(?)人も多いだろう。
さて、ここからがハカセの講義の眼目だ。
「これはある意味でヒトの悲しい性(さが)でもあります」とハカセは述べる。
ヒトの祖先が地球上に出現して以来十数万年の間のほとんどは今日の食糧をどう確保するかがもっとも重要だった。
次にいつ食糧にありつけるか分からないから、大きな動物をしとめることができたらむさぼり食い、余剰のエネルギーをすばやく蓄積する仕組みを発達させた。
「わたしたちの遺伝子は、今日のような飽食の時代を全く予想していませんでした。
つまり、私たちの生理的メカニズムは洞窟で飢えていた時代のまんま。だからこそ余剰のカロリーをちょっとでも摂取すると、それはすぐにでもお腹の周りの脂肪となってためられてしまう。これはほんとに当然のことなのです。
そして驚くべきことは、ケーキならたった四つで一日のエネルギー必要量をあっという間に充足してしまうという事実なのです。甘く見てはいけません」
写真はリモージュ・ボックスの「イチゴのショートケーキ」「イチゴのタルト」
過去記事
砂の城 ー『生物と無生物のあいだ』
6 22, 2008 19.食と農、健康と病 | 固定リンク | コメント(0) | トラックバック(0)
2、3年前小鉢で購入して植えてあった明日葉(あしたば)が、今では1m50cmほどにがっしりと育った。一年中葉を繁らせ、採っても次の日にはまた若葉が出てくるのでこの名という。
商業用には主として八丈島で生産されている。
ビタミンA、カロチン、カリウムがとても多く、茹でてもビタミンなどがあまりなくならない。
『小林カツ代の野菜料理ミニ事典』(小林カツ代&キッチンS/じゃこめてぃ出版)はおいしく旬の野菜を食べるためのちょっとしたポイントが丁寧に書かれていて大好きな料理書だ。
あした葉のところには「あした葉の磯炒め」と「あした葉のおひたし」が載っている。
「磯炒め」に惹かれて読むと、湯がきざっと強火で炒めたあと「火を止めて焼き海苔1枚をもみ入れ、全体にからむように混ぜ、お皿に盛る」とある。
なるほど、それだけで「磯」の香りと楽しめる。
6 8, 2008 14.読書三昧, 18.花・木・野菜・生きものたち, 19.食と農、健康と病 | 固定リンク | コメント(0) | トラックバック(0)
5 11, 2008 19.食と農、健康と病, 27.ヨーロッパ行・考 | 固定リンク | コメント(0) | トラックバック(0)
5 10, 2008 19.食と農、健康と病, 27.ヨーロッパ行・考 | 固定リンク | コメント(0) | トラックバック(0)
5 7, 2008 19.食と農、健康と病, 27.ヨーロッパ行・考, 33. WIF(Webdesign International Festival) 2008 | 固定リンク | コメント(0) | トラックバック(0)
5 3, 2008 19.食と農、健康と病, 27.ヨーロッパ行・考 | 固定リンク | コメント(0) | トラックバック(0)
パリは移民の街であり亡命者たちの街。
異質の文化が常に出会い、もちろん摩擦を生み、しかしお互いに受容し、共生してハイブリッドの新しい文化を不断に作り続ける街。
パリにはチベット人が100名以上は暮らしているという。
特にカルチェ・ラタン、パンテオンの丘のあたりは「Little Tibet(リトル・チベ)」とも呼ばれるほど料理、雑貨、アクセサリー、本屋などが集まる。
1959年のダライ・ラマ亡命時、家族に連れられてインドに逃れ、フランス留学の機会を与えられたのを期に26年ほど前からパリに住む女性が、1979年にまず雑貨店を開き、82年にはパリ初のチベット料理店「Tashi Delek(タシ・デレック)」をオープンする。
午後8時、まだ外は明るいが店内は客がいっぱい。
子連れの「普通の」フランス人家族や、パリジェンヌのグループ、独り黙々と食べる初老の男性などなど。
「ツァム・タン(Tsam thang)」(麦焦がしスープ)
チベットは高地で米はとれない。大麦を乾燥させ、軽く焦がして粉にしたものを主材料にしたものが「ツァンパ」料理。
本来は「ヤク」のチーズを入れるのだが、もちろんチベットから輸入などできないので、代用品を工夫している。
歯にあたる具はニンジンの細切りと少しのハーブしかないのだが、とろっとしたスープは倍煎茶のような香りと奥深い滋味に溢れている。
アムド地方のパンと。
チベットの餃子「モモ(Momo)」
パリでも人気のよう。皆注文している。
テーブルに「キッコーマン」も置いてあるのだが、何が原材料かわからないタレととても合う。
私にちょうどいい分量だと思っていたら、下段もあった。
食後の塩とバターの茶が実に旨く、短いが濃密だった12日間の滞仏の疲れを癒す。
静かにかわす "Free Tibet !"
4 26, 2008 15.社会・政治・思想・歴史そして世界へ, 19.食と農、健康と病, 27.ヨーロッパ行・考 | 固定リンク | コメント(0) | トラックバック(0)
3 27, 2008 18.花・木・野菜・生きものたち, 19.食と農、健康と病, 26.今朝のおはよう | 固定リンク | コメント(0) | トラックバック(0)
日本で売っているシリアルなどは甘ったるかったり、素材に疑念があったりして食べることはほとんどなかったのだが、ヨーロッパをあちこち旅したとき、その土地土地の旨いシリアルに接して見直すきっかけになった。
尊敬する料理研究家、辰巳芳子さんがスイス高地に住む人々が常食にしているミックスシリアルを参考に、日本の材料をもとに考案され作られた「スーパーミール」(プラザホテル板倉製・北海道深川市)に魅せられている。
不摂生、不養生、胃弱、少食、飲み過ぎな私の朝昼兼用食の基本とすることに決めた。
このなかに穀物、豆、胚芽、種実類7種がバランスを考慮して配合され成分の劣化を防ぐよう低温ローストされている。
●燕麦(えんばく)
馬に欠かせない飼料だったが馬の減少とともに作られなくなった。
辰巳さんは、この燕麦が雑穀のなかで一番食べ心地がよく良質のタンパク質、脂質を含み栄養的にも優れているという。北海道産。
●ひきぐるみ蕎麦粉
蕎麦を作るときは「内層粉」が良質とされるが、そば湯を飲むべしというように、栄養的には「表層粉」にビタミンB1、B2、D(ルチン)が豊富。北海道産。
●きな粉
北海道産大豆を使用。炭水化物、タンパク質、脂質に富み、消化性がいい。
●小豆(あずき)粉
北海道産。カリウムに富み、ナトリウム過剰な日本人の食生活に最適。
あずきは砂糖とともに食べられることが多かったが、砂糖とは切り離して摂取できるようにしている。
●玄米胚芽
東北産。
白く「精米」される過程でほとんど捨てられてしまうが、ビタミンB1に富む。
●小麦胚芽
同じく「白い食パン」にされるプロセスで捨てられてしまう。
北海道産。ビタミンB1、Eが多い。
●胡麻
大分県産。50%が脂質、タンパク質が20%等栄養価と消化吸収がいい。
食べ方はいろいろ。
いちばん簡単なのは、牛乳を注いでしばらく浸すだけ。
干し葡萄、木の実、果物、蜂蜜などを加えて。
オートミール風に煮ても、等々。
一食分約180円。
3 3, 2008 19.食と農、健康と病 | 固定リンク | コメント(0) | トラックバック(0)
この前「麻心」(鎌倉長谷)で販売しているのを見つけ試食してとても旨かったインドネシア・バリ島産の天日塩を購入したのだが、たまたま店でこれを販売している会社の方と隣り合わせ話をうかがった。
今の日本ではとても気候的にも経済的にもできない昔ながらの人手による製法。
製造・輸入にあたっては「フェアトレード」に徹している。
普通に一度出来上がった塩を室内温度56℃になる温室で天日干しすると、不思議なピラミッド型になる(別に型に流し込んでいるわけではない)。
塩の歴史について書きたいことは色々あるが、とりあえず二つ。
日本における明治以来(それ以前も「藩」が統制したが)の国家による塩の専売が最終的になくなり、販売が自由になったのはわずか6年前(2002年)になってからにすぎない。
もうひとつ、日本人の味覚は、化学調味料、たんぱく加水分解物(いずれも「旨味」のもととなるアミノ酸)と、いわゆる「食卓塩」によって破壊されてきたこと。カップ麺や粉末出汁などが典型。
『食品の裏側―みんな大好きな食品添加物』(安部司・東洋経済新聞社)
ナイスワンプロジェクト(この塩の販売元)
2 14, 2008 01.私の好きな鎌倉の店・Cafe & Bar, 19.食と農、健康と病 | 固定リンク | コメント(0) | トラックバック(0)
バレンタインデーをひかえチョコレートが売れるシーズン。
「チョコレートはメ・イ・ジ♪」の明治製菓に対して、グリーンピース・ジャパンが昨秋からキャンペーンを張っている。
チョコレートの原材料表示に「大豆レシチン」とか「大豆由来」と表記されている。この大豆が「遺伝子組み換え大豆は使っていない」と明記できない「不分別」のものなのだ。
中国の明治製菓が遺伝子組み換え作物由来原料は使わないと明確に発表しているのに、日本の本家が使っているかどうか分からない不明瞭な状況。
遺伝子組み換えは大量生産と経済性から生み出されたもので、除草剤をかけても枯れない耐性を持つもの、自ら毒を発して虫を駆除する殺虫性のあるものなどがあり、環境・健康リスクをもたらす。
EU(27カ国)では遺伝子組み換え原料を一切使わないチョコレートが市場を占めている。
日本への輸入品では、スニッカーズ、M&Ms、国産ではブルボンも一切使っていないという。
2 12, 2008 19.食と農、健康と病 | 固定リンク | コメント(0) | トラックバック(0)
WOWOWで放映している全米TV視聴率No.1の科学捜査ドラマ「CSI(Crime Scene Investigation)科学捜査班」シリーズ(ラスベガス・ニューヨーク・マイアミ)は事件現場に残された些細とも思える物的証拠の緻密な科学分析とチームメンバーの人間描写が大好きで、仕事をしながらよく横目で見ている。
なかでも「CSI・マイアミ」のホレーショ(デヴィッド・カルーソ)が最高だ。
犯罪者を人間として見つめ、しかし被害者の立場にたって犯罪自体を絶対に許さない姿勢、チームリーダーとしての采配とメンバーへの心配り…。
写真はハンガリー、ブダペスト市内で見かけた「CSIマイアミ」の番組広告(2007年2月撮影)。
中国産餃子中毒問題を、「そこまでは調べなかった」とかなにか半素人っぽく、連絡・報告もバラバラな日本の検査機関ではなく、できるなら彼らに委ねてみたい。
ホレーショの決めぜりふ「お前を必ず捕まえてやる」。
2 5, 2008 19.食と農、健康と病, 27.ヨーロッパ行・考 | 固定リンク | コメント(2) | トラックバック(0)
庭で収穫した唐辛子を泡盛に漬け込んだクースーが2週間を越えたので「ラ・ジュルネ」に持って行き、石垣島出身のキャシーに味見してもらう。
キャシーが作っているものは唐辛子が底に沈んでおり、私のはまだまだ大部分浮かんでいる。
「もう少しね」
1 21, 2008 19.食と農、健康と病 | 固定リンク | コメント(1) | トラックバック(0)
ラ・ジュルネの石垣島出身キャシーに教わり、庭で収穫した唐辛子を使って沖縄風辛味香辛料作り。
沖縄では丈の短い「島とうがらし」を使う。
「作る」といっても4合瓶に三分の一ほど唐辛子を入れ、泡盛を注ぐだけ。
2週間ほど放っておけばできあがり。
石垣など八重山では「クースー」、沖縄本島では「コーレーグース」と呼ぶ。
沖縄そばにふりかけたり、さまざまな調理の隠し味にも。
1 3, 2008 19.食と農、健康と病 | 固定リンク | コメント(2) | トラックバック(0)
私たちヒトは、すべて植物や動物という他の「いのち」を日々食べることによってしか生きていけない。
にもかかわらず、私たちはこれらの「いのち」が現在どのように育てられ、「収穫」「屠殺」「加工」され「食品」となってスーパーやコンビニの店頭に並ぶのかほとんど何も知らない。
生きている牛や豚や鶏はもちろん知っている。
しかしそこからパッケージされた「牛ロース300g」や「豚バラ肉200g」などになるプロセスを、繰り返すがほとんど何も知らない。
オーストリアのニコラウス・ゲイハルター監督・撮影のドキュメンタリー『いのちの食べかた』(原題『Our Daily Bread』日々の糧)をイメージフォーラムシアター(渋谷)で観る。
ここで撮し出されているヨーロッパの大規模な農畜産漁業の姿には、明るい草原でのどかに草を喰む牛とか、丹誠こめて作った作物を純朴そうな農家の娘が嬉しげに収穫するなどという私たちがなんとなく希望的にイメージする牧歌的な光景など微塵もない。
たとえばフランスやイギリスの田舎あたりでは今でもよくあるだろう、週末の猟で仕留めた兎や鹿を庭でさばいて軒下につるし、裏庭で育てた野菜やハーブを採り、川や湖で釣った魚をおろし、来客のためにジビエ料理やシチューの準備をするなどという暮らしのあり方、作物を育て世話をする手間苦労と楽しみ、収穫の喜び、大地の恵みへの感謝の気持ち、あるいは家畜とともに暮らし、やがて手放したり殺したりするときの哀しみなどの人間的感情の一切入り込む隙間もない対極にある「生産性・経済性第一」の工業的光景がここには拡がる。
モノカルチャーの大量農作物育成と生産性第一のやり方は自然に反するために必ず無理を生じ、さまざまな農薬や化学肥料を必要とする。
種子を採るための広大なひまわり畑にぶ~んと複葉機が飛んでくる。こちらに向きを変えた瞬間、農薬(短期で種子を収穫できるようにするための枯凋剤)の猛烈な散布が始まり、カメラに向かって白粉が拡がり、観ているわれわれも全身にそれを浴びる。
防毒マスクを着けた完全装備のスタッフに半自動化された散布機で農薬を浴びせられるトマトたち。
巨大な温室のなかのパプリカは自然の土ではなくパッケージ化されたロックウールにコンピュータ制御された養液を注入されて実る。レール自走式の農薬散布と収穫。
まるで奴隷のように実って嬉しいだろうか、きみたち…。
見たこともないような機械やシステムが出てくる。
クワガタのような先端を持つマシンがアーモンド畑を進む。
なんのためになにをしようとするのか。
やがて太い幹を抱え込む。
次の数秒間、いや十数秒だろうか、強烈な振動が樹に加えられ、実がこぼれ落ちる。
電気ショックによる拷問のよう。
おもむろに後続のシャベルカーが現れ実を取り込む。
地上に降り立ったUFOが扉を開けるときのように、キーンという音とともに車から長いウィングが畑に全開する。
一斉に農薬散布。
ピッチングマシンのようなもので次々にベルトコンベアにほうり込まれるヒヨコたち。
雌牛が眼の前にいて発情しても実際の交配などさせず人工膣で精液を人工授精用に「横取り」される雄牛。
遡上してくる鮭の群れは網などでは採らない。巨大な真空ポンプでチューブに吸い上げられる。
職人が3枚におろすなどという悠長なことはしない。
ベルトコンベアに「セット」された鮭はマシンによって自動的に腹を割かれ、内蔵はチューブで瞬時に吸い取られ次の「工程」に送り込まれる。
映像は撮されている内容・意味と対照的にとてもアーティスティックで美しい。
ただしナレーションもテロップもBGMも一切ない。
すべて実音のみ。
機械に押しつけられる子豚の悲鳴、額に電撃ショックを与えられ崩れ落ちても心臓はまだ動いている今際の際(いまわのきわ)の牛の息吹き、逆さに吊された牛の血や胃液の流れ落ちる音、何万羽という鶏の鳴き声、さまざまな無機質で規則的なマシンやベルトコンベアの音、わずかに異国からの出稼ぎ労働者仲間の昼食時のアラビア語会話…。
コンベアで流れてくる臓物を淡々と処理する、あるいは豚の脚先を黙々と切り取るなどの作業をしていた女性が、サンドイッチのランチを孤独に無表情にあまり旨そうにではなく食べる姿が哀しい。
私たちが、日々恩恵を(やむを得ずではあれ)受けながら、目を逸らしている「食」の大元の現実がここにある。
「食とはいのちの矛盾を咀嚼することでもある。これは欧米も日本も変わらない。生きとし生けるものの業であるこの矛盾を、僕たちは整合化してはならない。矛盾は矛盾として受容せねばならない。端数を四捨五入してはならない。忘れないこと。意識におくこと。目をそむけないないこと。凝視すること。
そのためにこの映画はある」(森達也)
11 23, 2007 12.写真・映像・映画・演劇, 19.食と農、健康と病, 31. 「不都合な真実」をデザインする | 固定リンク | コメント(0) | トラックバック(0)
麻心で購入した殻付き麻の実。
塩水にしばらく漬けてから水気を切り、少しの油で煎る。
カリッとした歯触りとゴマに似た香気が気持ちいい。
麻の実なんて食べたことないと思うかもしれないが、前にも書いたように誰でも食べている。
七味唐辛子の七味のうちのひとつだし、いなり寿司やがんもどきなどにも入っている。
タンパク質、脂質、糖質、食物繊維に富み、大豆のようなアレルギー性物質を含まない。体のなかで合成できないアミノ酸、必須アミノ酸8種類がすべて含まれている。
釈迦も、晩年の6年間、毎日麻の実と麦だけを食べて生活するという「麻麦(まばく)の苦行」を経て悟りを開いたという。
ヘンプ(Hemp)の普及について少し企画を進めているので、ちょっとずつ関連することを載せていきます。
11 20, 2007 19.食と農、健康と病, 30. Hemp(ヘンプ)の薦め | 固定リンク | コメント(0) | トラックバック(0)
秋雨のめっきり寒くなった夜、授業帰りのPartnerとラ・ジュルネで温野菜プレート。
ざっくり切ったキャベツ、ブロッコリー、ズッキーニ、ニンジンなどの新鮮な鎌倉野菜、綾子さんの実家から送られてきたむかごをオリーブオイルと塩胡椒でシンプルな味付け。かけられた澄んだ煮汁も旨い。
Partnerは「お風呂上がりに化粧されてお澄まししている野菜たちが並んでいるよう」と書いたが、たしかに田舎娘も帰国子女も混じったきれいどころがおめかしして集結という感じ。
11 10, 2007 04.私の好きな鎌倉の店・中華・エスニック, 19.食と農、健康と病 | 固定リンク | コメント(0) | トラックバック(0)